昔ばなし発掘

巨石の山の伝説

コンポンチュナン州の昔ばなし

コンポンチュナン州、山頂の巨石にまつわるお話です。

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領主と二人の息子

むかし、アンコール王朝よりもずっと前のこと。プノンペンの西にあるコンポンチュナン州に、この土地を治める領主がいました。領主には二人の息子がいました。

歳をとった領主は、二人にこう告げました。「先に花を咲かせた方に、領主の座を譲ろう」

こっそり植え替えられた苗木

兄弟は、頂上に巨大な岩がそびえ、あたり一帯を見渡せる山の上に、それぞれ花の苗木を植えました。

しばらくして弟が山へ行ってみると、兄の苗木には花が咲いているのに、自分の苗木には花がありません。どうしても領主になりたかった弟は、二人の苗木をこっそり植え替えてしまいました。

国を去る兄

弟は「私の苗木が先に花を咲かせました」と父に報告しました。

けれども兄は、本当のことを知っていました。弟よりも先に山を訪ね、自分の苗木に先に花が咲いていたのに、あえて言わないでいたのです。

兄は弟に「嘘で手に入れた領主の座では、いずれこの土地に災いが起き、裏切りが続くだろう」と言い残し、去っていきました。

ゆれ続ける山

弟が領主の座を継ぐと、山は不気味な音を立てて、ゆれ続けるようになりました。

新しい領主は500人の僧侶を呼び集めて祈らせましたが、山のゆれは何年たってもおさまりません。

7年7か月がたったある日、山頂の巨石が突然まっぷたつに割れ、多くの僧侶たちが下敷きになってしまいました。山のゆれは、それきりぴたりと止みました。

まっぷたつに割れた巨石

深く悔いた弟は心を入れかえ、80歳になるまで正しく土地を治めました。亡くなった後は、命を落とした僧侶たちとともに、この山に祀られたということです。
おしまい

【解説】

現在「プノン・プレア・テアット(御骨の山)」と呼ばれるこの山には寺院があり、今も多くの僧侶が暮らし、修行をしています。

寺院の土台にはアンコールワットと同じブロック状の石が使われていることから、アンコール王朝より前の10世紀ごろに建てられたと考えられ、この伝説もその時代のものではないかとみられています。

山の上の寺院
二つに割れた山頂の巨石